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パネルディスカッション紙上中継

世界の女性・福島の女性 〜NGOフォーラムからの出発


 設立総会に引き続いて行われた記念イベントのパネルディスカッション、「世界の女性・福島の女性 〜NGOフォーラムからの出発〜」では、時間を延長しての白熱した議論になりました。
 パネリストがそれぞれの立場から率直に語った意見はたいへん明瞭なもので、聴きやすいものであったのではないかと思います。

1.世界の女たち〜北京会議から

[栗原] 栗原 北京(NGOフォーラム)でワークショップをやろうと思ったことが今 日 の「ふくしま女性フォーラム」の設立につながりました。まず、取材で現地に行かれた 伊東さん、岡本さんから、北京会議の概要や印象などについてご説明いただきましょう 。

伊東 NGOフォーラムは8月末から9月上旬にかけて5万人が集まり、NH K では9人を派遣しました。各国政府が宗教や貧富の差などについて話し合う「政府間会 議」と、民間の女性たちによる「NGO会議」からなり、NGO会議では約5千のワー クショップが開かれて、戦争中のレイプの問題やポルノグラフィ、売買春などをテーマ にした討論が行われました。世界女性会議は1975年、メキシコで第1回が開かれ、以後 コペンハーゲン、ナイロビで開かれています。

岡本 NGOフォーラムに参加して、その混とんとした雰囲気に「まるで地球 そ のものだ」という印象を受けました。特に、アジア、アフリカ人のパワーを感じ、自分 もアジア人だという感覚を持ちました。

栗原 ありがとうございました。さてここで、フィリピン生まれで福島で活躍 し ているコラソンさんに、体験も踏まえたご意見を。

[コラソン] コラソン 私は1976年5月に日本人と結婚して日本に来ました。5年後に日本 国籍を取りました。それまでは日本について何も知らず、わからないことはすべて姑に聞 いたので嫁姑問題はあまりありませんでした。近所の人たちとも積極的に友だちになり ました。日本人はイエス、ノーをはっきり言わず、それが一番困りました。やがて家庭 内のコミュニケーションがうまくいかずに離婚。子どもを持って日本語もあまりできな い自分が仕事につくのは大変でした。英会話教師として勤め始めたとき、子どもはまだ 8歳と4歳。仕事には車の運転免許が必要だったので、12回も試験にチャレンジし、合 格した時には本当にうれしかった。仕事も子育ても前向きに考えてきました。多くの人 が支えてくれたことにも感謝しています。そしてずっと「自分の意見を言うこと」だけ はあきらめずにいました。

栗原 コラソンさんは福島でも非常に成功した例でしょう。前向きに生きるこ とが大切なのですね。では次は北京会議にも参加した三田さん、どうぞ。

三田 「高齢社会をひらく女性たちの会」(樋口恵子代表)でワークショップ を 企画しました。会場でビラ配りをしていると、中国人と日本人との区別がつかず、日本 人もアジア人なのだと感じました。会場でイギリス人女性から、「なぜ若い人が多い中 国で若いあなた方が高齢社会についてワークショップをするのか」と質問されました。 若い自分たちだって、やがて高齢になるのだから、高齢社会について考えていくことに はなんの不思議もありません。NGOフォーラムで提起された問題について、日本の女 性は本当に真剣に考えているのだろうか、その点は疑問に思いました。

栗原 北京に行ってよくわかったことは、福祉についてスウェーデンなどのず っ と進んだ国もあるし、まったく遅れた国もあることです。日本社会は閉鎖的なのでしょ うか。コラソンさんのように、12回も試験にチャレンジするような頑張る人しか受け入 れられないのが日本社会なのかも。性別役割分業をどうやって克服しているのかという こともこれからの課題でしょう。

岡本 ちょっと一言。三田さんが指摘したことは確かにそうかもしれません。 し かし日本にも深刻な問題があります。均等法が適用されないパート労働者、農業・自営 業の家内労働者の問題です。番組の最後に実業家として成功する「おしん」のイメージ はアジアでも広まっていますが、日本で企業家になれる女性は一握りでしょう。


2.福島の女たち

栗原 では、次に福島の女性の現状についてご意見をうかがいましょう。

[伊東] 伊東 均等法に入らない女性の問題もきちんとしなければ。日本の場合、パー ト 労働を女性自らが望むという構造が一方にあり、子育て中はリタイアして継続的に続き ません。そこを自分の問題として考えているのか、一つのことについていろんな見方を していけるのかという問題があります。福島の女性は底力があります。しかし目立ちた がらない、発信力に欠ける面があります。また他人とのつきあいでも、その人全体と関 わりあわないといけないという部分があるのではないでしょうか。問題をはっきりさせ て目的を決め、その部分でネットワークを作っていくような「クールさ」が必要ではな いでしょうか。目立って恨まれようとも、個性を出して、異質性を認め合うこと、その 力を育てることが必要でしょう。

三田 結構私は、批判も恐れて生きているんだけど‥‥、でも人の気に入るよ う に生きていくつもりはありません。今、県でも女性が数そろえで委員に選ばれる。その 女性たちは会議の間は黙っていて、終わってからしゃべりだすということがあります。 それはやめようと提案したいです。女性はアリバイ作りに協力するのはやめて、きちん と議論に参加すべきでしょう。そしてきちんとアイデンティティを持つことです。

コラソン 私は国際交流の問題を挙げたいと思います。日本にはフィリピン、 韓 国から女性が「嫁」として500人以上が来ています。特に農村では外国人が8000人もい て 、その人たちがどのような悩みを抱えているのか、文化や習慣の違い、嫁姑問題などに ついても考える必要があります。ハーフの子どもたちやアジア各地の残留孤児の問題、 留学生の受け入れについても、少しでも力になってあげられないかと思います。

[岡本] 岡本 習慣の違いなどでは、はっとさせられることもありますね。日本ではエ プ ロンを贈る、贈られることはうれしいですが、フィリピンではエプロンはメイドがする ものという意識があり、エプロンをプレゼントすることは時に失礼になることもありま す。異文化の交流も重要なことです。


3.会場参加者との意見交換

参加者 フィリピン人など出稼ぎに来ている外国人の犯罪が増えています。私 自 身、色眼鏡で見ていたかもしれませんが、その実態について教えてください。

コラソン ルーズな部分があるのは政府の問題でもあるかもしれません。

伊東 なぜ日本に出稼ぎに来なければならないのかという構造について、もっ と 知ってもらいたいです。NHKでは番組でも取り上げています。法的な問題と道義的な 問題の両面について、きちんと知って考えていくことが大切でしょう。

[三田] 三田 本当はこれは私たちが一番恥じなければならないことなんですよ。どう も 西洋人を大切にしてアジア、アフリカについては差別をするという、身に染みついたも のを改めていかないと。

栗原 今ご質問された方もご自分で調べて、会報などで結果を発表できます。 ぜ ひやってください。誰かが発表していかないといけませんよね。

参加者 中国の女性と交流して、女性が弱いのは経済と法律ではないかと思い ま した。行動力にも欠けるのではとも思いました。

参加者 「女も人材にならないと」という三田さんの言葉がズシンと来ました 。 そういう時代に「女の子らしくしなさい」という教育はしてはいけないと思いました。

伊東 「情報とメディア」について、NHKもたくさんの番組を作りました。 た だ、このような問題は地味なので、アンテナを張り受け止めることに注意してほしい。 メディアに雇用される女性が量的に拡大すると、質的な拡大につながります。30代半ば の女性ジャーナリストがこの問題に積極的に関わっていて、「女性」という問題ではな く、もっと幅広く見てほしいと思います。政治とかの特集でも女性が制作している番組 がありますよ。NHKでは、目的がきちんとした団体などへはビデオの貸し出しもして いますので、ぜひ利用してください。

栗原 「ふくしま女性フォーラム」は自主的な団体ですから、広報活動やビデ オ 上映会を企画して活躍することもできます。自分で企画してぜひ積極的に参加してくだ さい。

(ダイジェスト版作成・藍原寛子)


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This page written by TAKAHASHI, June (Fukushima Univ., june.takahashi@nifty.ne.jp)
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