喫煙について
梅津大介
禁煙、嫌煙が叫ばれる今、どうして人はタバコを吸うのかという単純な疑問から喫煙をテーマに作業を行ってきた。どんな人がどんなときにどのように吸うのか、どうして吸いたくなるのか、どうして吸い始めたのかなど疑問がある。
まず、タバコの背景にある社会、文化、歴史的影響やタバコの成分による影響が、人がタバコに火をつける原因に関係してくると考えられる。
そこで、はじめに歴史的な面からタバコについて調べたところ、タバコ総合研究センターの「日本たばこの歴史」から、タバコがもともとどういうものだったのかがわかった。アメリカ大陸にいた原住民が喫煙していたのがはじめで、タバコとは宗教的価値を持つものだったようだ。
コロンブスらヨーロッパ人が大陸を発見したときに、「友好のサイン」としてもらい、持ちかえりそれから普及につながった。そして、日本に渡来したのは、いろいろな説が主張されているが、明確なことはわかっていないが、1532年から1614年に渡来したとされている。タバコが渡来し、喫煙習慣が定着するには、次のステップを踏むものと考えられる。すなわち、外国人の喫煙を見る、喫煙を試してみる、輸入品のタバコを喫煙する少数の人が現われる、タバコ種子が輸入され、タバコの国内栽培が始まる、喫煙習慣が急速に普及し始める、というステップである。以上資料から簡単にタバコについて述べたが、普及の根本的原因要素に「友好のサイン」、「社交儀礼」といった人間関係にかかわるところがあり、今日に至っている。フィールドワークをするにあたり、私の漠然とした疑問を解いていくのは難しく、手間のかかるものだと気づいた。特に個人の内面にかかわること(どうして吸うのか、吸い始めたのかなど)は観察などだけでは難しい。そこではじめは、どのような人が、何をしながら、どのように喫煙するのかなど大まかなところから調べていくことにした。場所は観察しやすい飲食店にした。
9月28日(火)15時から16時に福島イトーヨーカドー内のミスタ―ドーナツ、9月29日(水)19時から20時に福島西口デニーズ、10月1日(金)19時から29時に福島駅前天狗で、喫煙者の年齢、性別、服装、髪型、タバコの銘柄、吸った本数、飲食していたもの、何をしていたか、どのように吸っていたかなどをできる限りの範囲で行った。結果をまとめると次のようになった。
○ミスタードーナッツ
喫煙者計7人(男1人女6人) 本数のべ15本(平均2本)
この観察では、ドーナツといった甘いものを扱った店であること、平日であること、イトーヨーカドーへの買い物ついでといったことなどが影響してくると考えられるため、女性の姿が多く見られた。一般化するための非喫煙者の数を把握しなかったので割合も出すことができなかった。特徴として、おしゃべりしながら、ドーナツを食べながらなどの「ながら吸い」がほとんどだった。
○デニーズ
喫煙者計21人(男11人女10人) 本数のべ43本(平均2本)
つれ吸いのべ8回この観察は、喫煙席で行ったので非喫煙者との比較ができなかった。特徴としては、食前食後、話をしながらなどがあり、1人が吸うともう1人も吸う「つれ吸い、つられ吸い」が見られた。20代男性3人は5回もこれを行った。また、母親の喫煙も見られた。
○天狗
喫煙者計23人(男19人女4人) 本数のべ55本(平均2本)
つれ吸い、つられ吸いのべ11回この観察は、「つれ吸い、つられ吸い」が多く見られた。また、吸ってすぐ消し、次のタバコに火をつけるといった不可解な行動もあり、酒の場は特徴的といえる。また、1時間内で最高8本吸っていた人もおり、これはほぼずっとタバコを吸っていることになる。今回も、非喫煙者を把握できなかったので比較することができなかった。
以上の結果をふまえ、次に11月2日(火)16時30分から17時30分にマクドナルドで、11月3日(水)19時から20時に福島駅西口のガストで再び観察を行った。今回は、非喫煙者の数も把握し、喫煙の様子[くわえ方や煙のはき方など]にも注意して観察を行った。
○マクドナルド
喫煙者計5人(男2人女3人) 本数のべ6本(平均1本)
非喫煙者74人(男31人女43人)
計79人
- 20代・女性 4人組 1本 食前
他3人が食事する中吸う煙は向かいの人を気にして上向きにはく- 20代・男性 1人 1本
書類を読みながら煙はたまに上のほうにはく- 30代・女性 2人組 1本
食後はなしながら- 30代・男性 1人 1本
- 40代・女性 1人 2本
書類を読みながら、くわえ方はやや上向き煙は下のほうへ、タバコをタバコケースにしまっていた○ガスト
喫煙者計14人(男5人女9人) 本数のべ22本(平均1本)
非喫煙者計45人
つれつられ吸い1回
計59人
- 20代・女性 3人組 3本×3
食後はなしながら、皆くわえ方はやや上向き
つれ吸い1回- 20代・女性 2人組 1本
注文前- 20代・女性 2人組 1本
食事中- 20代・女性 1人
食後に- 20代・女性 2人組 1本
食後にマルメンライト- 20代・男性 1人 1本
ラーク- 20代・女性 3人組 1本
食後- 20代・男性 1人 1本
ラーク- 20代・女性 3人組 1本
注文前、食後 煙は向かいを気にして。女性のくわえ方はやや上向き- 20代・男性 1人 3本
上にはく フィリップモリス- 30代・男性 3人組 1本
ラッキーストライク- 40代・男性 1人 1本
注文前持参のマンガを読みながら以上、マック、ガストでの観察では女性の喫煙が目立った。そして女性のほとんどがタバコをやや上向きに加える特徴があった。はく煙については、向かいの相手を配慮する姿が見られた。
全体を通して感じたことは、女性の喫煙が目立っていたということだ。これは、私の主観的な意見ではなく、ここ最近の傾向のようだ。ある統計でも明らかになっている。これまで女性の喫煙が少なかったのには、日本の文化、慣習、風潮といったものが背景にあったと思う。喫煙者が増えたということは、その背景が変化しているということだろう。また、吸い方には、「ながら吸い」、「つれ吸い」、などが見られた。女性にはやや上向きにタバコをくわえる特徴的な傾向があった。吸うタイミングは、食前、食後の合間、話の合間が多かったが、中には食事中に喫煙するひともがいた。結局、これらを踏まえ、なぜ人はタバコを吸うのかという疑問の答えを見つけることはできなかった。世間では、専門科学の数だけたくさんの回答があるようだ。答えは出せなかったが、予想もしなかった喫煙行動が見られ、有意義なフィールドワークだったと思う。喫煙については、社会的問題の1つとして考えるべきことだと思うので、これからも注目して行きたい。