フィールドワーク

公共施設における親子の関わり方について

小池 悦子
遠藤
美和


I.目的

家庭外での遊びの中で、親子の関わり方はどのようなものか。主に親が子供に対して、どのような配慮や援助をしながら過ごしているのかを観察する。

 

II.方法

親子が一緒に遊べるような公共施設において、全体を見渡せる場所で親子を観察する。特に、子供が遊んでいる時の、親の子供への注意の払い方,目線,言葉かけ等の対応の仕方に注目する。

 

III.条件

(1) 918日(土) 16:0017:00 天候:曇り

場所:福島市児童公園 固定遊具周辺

(2) 919日(日) 11:0013:00 天候:快晴

場所:あずま総合運動公園内 県営あずま総合体育館幼児体育室

(3) 919日(日) 14:0015:30 天候:快晴

場所:四季の里 じゃぶちゃぷ池,わんぱく広場(ザイルクライミング)

IV.フィールドの概要

(1)福島市児童公園

土曜日とあってか、”母親−子ども”よりも”父親−子ども”の組み合わせが多く見受けられる。夕方で少し肌寒いが、10組の親子連れが来ている。

(2)県営あずま総合体育館幼児体育室

幼児体育室は体育室と隣り合わせで、体育室の対象年齢は小学生以上、幼児体育室はそれ以下という規定になっている。多くが家族連れで来ているが、兄弟の高年齢児の方には父親が付き添い、低年齢児の方には母親が付き添う傾向が見られる。

幼児体育室は、学齢児未満対象の為、遊具に様々な配慮がなされてある。

(3)四季の里

天気が良かったこともあり、来園者が多く、家族連れやカップル、団体客で賑わっている。特に、子どもが多かったじゃぶちゃぷ池やわんぱく広場で観察することにした。

じゃぶちゃぷ池は入り口正面に位置し、荒川の支流を利用して自然の流れを生かしており、7段の石段で降りていける半円状の池。その深さは、15cm〜20cmで子どものくるぶし程度である。

また、わんぱく広場は、ザイルクライミング等、体を使って思い切り遊べるスペースである。

  

X.観察内容

児童公園−1

構成

子どもの行動

親の関わり

父親

女児A(1歳)

女児B(3歳)

ジャングルジム付き滑り台で。

Bはジャングルジムの頂上まで1人で登ったり、滑り台まで移動し、後ろ向きで滑ったりしている。

Aは、まだジャングルジムの2段目で“パパ見て”と満足気である。

Bは遊びの補助は要らないのだが、目線は主にAに集中。ずっと子どもに危険がないようこどもの補助をして下で付き添っている。子どもからの呼びかけに笑顔で応える。

父親

女児(5歳)

“ブランコにのろう!”と父親を誘う。父親とのスキンシップを楽しんでいるのか始終父親の方を見て笑顔である。

子どもの遊びを傍観しているのではなく、一緒に同じ遊びをし、喜びを共感している。また、“〜してごらん”と立ちこぎなど遊びの提案をしている。

 

 

父親

男児(1歳)

 

自分1人ではまだ歩くことも不可能であるが、父親に押してもらい、少しのの揺れで満足している。

10分ほどで飽きた表情をし、父親に訴える。

鎖を持って、ゆっくりとブランコを押している。周囲の様子を話したり、(“お姉ちゃんたちブランコすごいね”等)子どもに常に語りかけている。

子どもの表情から察知して、手をつなぎ鳥小屋の方へ移動する。

 

 

母親

男児(6歳)

アスレチック付き滑り台の頂上に行くまで、“ここまで登れた!”と母親を意識しながら進む。母に登れたことを認めてもらうと、とても嬉しそうな笑顔になる。

2回挑戦すると、次の遊具へ。

11つ遊具に挑戦しながら、できたことを見てもらおうと“見て!”と言い、次々と別の遊具へ。

遊具の脇のベンチに座り、子どもの様子を見守る。

子どもの呼びかけに対し、手を振ったり、うなずいたり、笑顔で応える。

相変わらずベンチに座って、子どもの様子を見守る。危険がないか見ている、と言うのではなく、子どもが楽しんで遊んでいるのを安心して見守るといった様子である。

共感するものの、一緒に遊ぶのではなく、疲れているのかずっと座ったままである。時計を見て、その場を去る。

 

 

父親

男児A(2歳)

男児B(3歳)

遊具の後ろに隠れて、鬼である父親に見つからないように、BがAに、“静かにしてろよ”と言ったり、別の場所へAと手をつないで移ったりする。

“いたかな?” “どこだー?”と言いながら、一緒に遊ぶ。

“見つけた!!”と大げさに子供たちを抱き上げ、スキンシップ十分である。

 

 

 

 

児童公園−2

父親−女児A(5歳),女児B(3歳)

時間

子どもの行動

親の関わり

16:15

女児A 上の方まで登る

女児B 真ん中で遊ぶ

 

 

姉は、1人で降りたり登ったりするが、妹は父を呼んで降ろしてもらう

また、2人で外から回してみたりする

 

 

姉妹が乗って回転するジムを外から回してあげる

1人で降りられない妹の手助けをしてあげる

 

側で見守る

16:07

 

 

 

 

 

 

敷地にある鳥小屋を覗く

女児A 中のあひるに気を取られている

女児B 父親の足にぴったりとしがみついて見ている

 

 

 

 

 

足に女児Bを捉らせているが、一緒に見ているのではなく、きょろきょろ周りを見回している。

(一見退屈そうに見えるが、次どこへ行くか考えているかもしれない)

16:08

犬の乗り物の方へ父と手をつないでいく

両手に子どもを連れていく

(券をめくってのるらしい)

16:09

 

 

 

乗る

姉妹は前に乗り、その後ろに父親が座る

女児B 体をのけぞらせてたり、前後に揺らし思い切り楽しんでいる

子供達には、眺めの良い前の席に座らせ、自分は子供達を見守るのに良い場所に座る

16:11

乗り物から降りる

父の言葉で2人とも駆け寄る

 

 

”お父さんにつかまれー”と言って両手を広げながら走る

(初めて父親からのアクション)

 

16:12

帰る

3人自転車に乗込む

前に妹、後ろに姉

 

あづま総合体育館幼児体育室 ・休憩所

父親−女児A(5歳),女児B(3歳)

構成

子どもの行動

親の関わり

男児A

3歳)

男児B

2歳)

女児C

1歳)

母親

体育室で遊び終え、トイレに行き着替えをしている。

Aは一人で替えのTシャツに着替えるが、途中で休憩所へはしっていってしまう、

 

母に着替えを手伝ってもらう。

しかられているが笑顔。

 

手のかかるBとCの着替えをさせている。その間全くAの方へは視線をむけず、BとCで手いっぱい。

BとCの着替えを終わらせてからAが

いないことに気づく。「A早くこっちに

来なさい」と叱り、Aを連れて戻る。

ようやくAの着替えを手伝う。

しかし,「…してはだめでしょ」と小言が多い。

 

男児A

2歳)

男児B

2歳)

父親

母親

祖父

祖母

 

 

昼食後休憩所のソファーで家族みんなでそれぞれ飲み物を飲んでいる。

Aが母親のコーヒーを飲もうとする。

しかし,祖母の言葉で止めてしまう。

AとBが些細なこと(手がぶつかった)でけんかになる。

母親の一言でけんかを止め、仲良く遊び始める。

 

 

 

母親は飲ませようとする。

祖母がしきりに「苦いよ、飲めないよ」

と言う。

 

母親は黙って見守る。祖母は「だめ、危ない」を連発。

子どものけんかがエスカレートし、母親がけがをしないように話す。

 

 

女児

(3歳)

母親

体育室で大きなボールを持ってきて上によじ登ろうとする。

平均台を渡る。

手を添えてボールに乗れるようにす

る。

手をつないで話しかけながら2周する。

 

 

 

男児

(2歳)

母親

見るもの全てに興味を持ち、積み木で作った家を押して壊したり、知らない赤ちゃんに頬ずりしたり、滑り台を反対側から上ったりする。

母親は子どもの行動に困ったような顔をするが、子どもに対しては特に何も言わない。周りの子どもや母親達に謝っている。

常に子どもの後を追いかけている状態。

 

男児(5歳)

母親

鉄棒で逆上がりの練習をしている。しかし、なかなか思うように出来ず、諦めようとする。

“できない!もう、できなくていいよ”と半べそ。

やっとのことで、少しの補助で出来た。

母親“そこで止めようとするからいつまでも出来ないんだから!”と言って、手を押え、足をつかみ、何度も練習させる。

“やればできるんだから”と、さらに力が入る。

母親、子どもを抱きしめて一緒に喜ぶ。

 

 

 

じゃぶちゃぷ池

母親A,父親−男児A(5歳),女児A(3歳)

母親B−女児B(3歳)

時間

子どもの行動

親の関わり

14:13

 

 

女児A,Bは友達らしい

男児A 池の中央までどんどん入っていく

女児A,B 母親の側の池の縁で足を濡らしている

男児A 柵の上に上がる

男児A 母親からさらに遠くへどんどん入って行く

母親達、池の側の石段で話ししている

母親A 話しながらも、目線は男児Bの方へ

 

 

母親A ”危ないから降りなさい”

(諭すような口調)

母親A ”あー、びしょびしょになるからやめて”(悲鳴)

14:16

 

子供達親の周りに集まってくる

一時静かになる

父親A ジュースを持ってやってくる

母親B ”どうもすみません”

14:18

 

男児A 飲み終わるとすぐに池の中を走りまわり大騒ぎ

母親の言葉に耳を貸さず逃げ回る

男児A ”こんな事で風邪引くような男じゃない”

ついに水の中でうつ伏せ

”おーい”と母親を呼ぶ

女児A お兄ちゃんの行動を見てか自分もズボンを脱いで水遊び

女児B 母親Bの側を全く離れずおとなしくしている

 

男児A 一度は逃げたが、手招きをされるとやっと母親のもとへやってくる

手を引かれ皆のいる所へ戻ってくる

 

 

母親A ”○○!!”名前呼んで自分のもとに呼び寄せようとする

 

母親A ”風邪引くよ!!”

 

 

母親A 知らん振りする

 

 

 

 

 

母親B 少し微笑んで親子のやりとりを黙って見ている(あきれているかもしれない)

とうとう母親A立ち上がり、男児Aを黙って手招きする(言葉には出さないがかなり怒っている様子)

 

(この間、父は黙ってビデオを撮っている)

 

14:20

男児A ”体、重ーい。あー、気持ちよかった”

 

男児A ”お母さん、どこで着替えれば良いの?”

 

 

母親A ”風邪引くからもう終りなさい。お母さん恥かしいからもう帰るよ”

母親A 子供達の着替えを取り出す

母親A 子どもの着替えを手伝う

”こっち、こっち。ちゃんと体拭けー”

着替えさせながら、母親度同士子どもの身長の話をしている

14:30

女児A 帰り支度をする親に向かって”まだ、帰りたくない”とだだをこねる

女児B ”ママ、もう帰ろう”と帰りたがっている

父親A ”みんなもう帰るんだよ”

 

 

 

母親同士で話している

母親Bが母親Aに”おさがりちょうだい”と話している

 

わんぱく広場(ザイルクライミング)

母親−男児A(6歳),男児B(4歳)

時間

子どもの行動

親の関わり

14:45

兄弟でザイルクライミングに登っている

男児A するするとてっぺんまで登っていく

 

母親、子どもの幼稚園の先生と出会う

母親も先生も子供達を見ながら話している

母親 ”元気ですね”の先生の言葉に、”お兄ちゃんは大雑把で、弟は几帳面なんです”

14:50

男児A 母親と先生のもとへ報告に来る

”もう1回てっぺんまでのぼってきた。これで5回登った”

(どちらかというと先生を意識している)

男児B Aの後を追いかけていく

先生”すごいねー”(びっくりした感じで)

14:55

男児Aまた戻ってくる

遅れてBも

男児A ”てっぺんであひるの声やってくる”(先生に向かって)

また行く

てっぺんに登って、

男児A ”せんせー。ぐわっ、ぐわっ、ぐわっ”

また戻ってくる

男児Bはてっぺんまで登らないうちに、お兄ちゃんが母親のもとへ戻るとついてくる

 

 

母親と先生笑いながら見ている

 

 

 

 

先生、大きく手を振る

15:00

 

 

帰る

男児A 先生のもとへ戻ってきて“先生、これからアイス食べに行くんだ”

先生 “いいなあ。○○君元気?”男児Bに呼びかけるが、男児B恥ずかしがって笑っている

 

VI.まとめ

以上のような観察を続けると、親の子供に対する接し方がいくつかのタイプに分けられそうだった。そこで、自分達なりに、親の態度をタイプ別に分類してみた。

<生活疲れ型>

子どもの遊びを見ているが、体はついていかない。とりあえず“座って見守る”タイプ。子どもの遊びの区切りでというより、自分の都合で遊びを終わらせる。

<フレンドシップ型>

子どもとまるで友達のように遊ぶタイプ。 一緒に笑ったり、考えたり、また、遊びを提案しながら進めている。

<先読み禁止型>

子どもの行動を先読みしてしまい、子どもが行動をおこす前に「…してはいけない」と禁止語ばかり言うタイプ。子どもは常に受け身状態である。

<見守り型>

子どもの遊びを黙って見ているタイプ。子どものすることには口出ししないが、子どもの呼びかけには笑顔でこたえたり、手を振ったりする。安全に対する配慮はしている。

<スパルタ型>

子どもの意志より親の思いを優先させ、まるで訓練のように遊びをさせるタイプ。キツイ口調、表情であるが子どもが頑張った時は褒める配慮を忘れない。

<放任型>

子どもの行動に全く注意を払っていないタイプ。子どもがどのように遊んでいても干渉せず、自分のところに来て話し掛けられるまで思いのままに過ごしている。子供の遊びのために来たというより自分の休息で来ているといった感じである。


 Back 


Copyright (c) 2000, TAKAHASHI, June. All rights reserved.