2002年度講義

ジェンダー論

(1996年度カリキュラム 生活文化論・前期)



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 概略 

【講義のねらい】
 歴史・ジェンダー学修分野の基礎科目の一つとして、ジェンダー/セクシュアリティに関する基礎知識を身につけるとともに、言語、メディア、学校教育、労働、家族といった生活の各領域における具体的な問題を検討します。

【講義概要】

 1 ジェンダー/セクシュアリティの概念

 2 言語・メディア・ジェンダー
 (1)ことばとジェンダー
 (2)メディア文化の中のジェンダー

 3 教育とジェンダー
 (1)学校は「平等」か? 
 (2)「かくれたカリキュラム」とジェンダー

 4 家族とジェンダー
 (1)「近代家族」とその特質
 (2)現代家族のゆくえ

【使用テキスト・参考文献等】
 井上輝子、『女性学への招待』、有斐閣。
 中村桃子、『ことばとフェミニズム』、勁草書房。
 木村涼子、『学校文化とジェンダー』、勁草書房。
 上野千鶴子、『近代家族の成立と終焉』、岩波書店。
 (以上、主要なもののみ)

【評価方法】
期末の試験またはレポートで評価します。試験にする場合はすべて持ち込み可とします。(ポリシーです。)

【学生へのメッセージ】
 本講義は行政社会学部の「女性学・ジェンダー研究プログラム」への登録科目です。

※以上、講義要項の記載に準じています。



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 内容 


■第1回(4/11) イントロダクション

 今回は、本当にほんの入口だけ。この講義は、旧カリ生(4年次生以上)にとっては「生活文化論」(通年4単位)の前期にあたるわけですが、2・3年生にとっては「ジェンダー論」(半期2単位)なので、カリキュラム上の違いや評価の仕方の違いなどについての説明をした後、講義の内容が世界的・歴史的にどのような位置づけを帯びているのか(ちょっとおおげさ)について触れました。あわせて、受講生自身にとってこの講義がどういう位置づけなのか、ということも知りたいので、1回目の感想を書いてもらっています。なぜかQ2で、「女性史について知りたい」という希望がたくさんあったのですが、そういう人は栗原先生の特殊講義「ジェンダーと歴史学」を取ってください(3年生以上)。シラバスであげているテーマの中で、何に一番関心があるかと訊いたつもりだったのですが……(^^;)。

■第2回(4/18) “ジェンダー”の概念

 今回は、一番のキーワードである“ジェンダー“の概念について。新聞などでは「ジェンダー(社会的・文化的な性差)」などと書いてありますが、これで説明だと思ってるのはほんとにすごい(^^;)。まずは、生物学的な意味での性の違い(セックス)と異なる部分を指す概念なのだ、ということを理解して下さい。生物学的な違いで全てが決まってしまうなら、あるいは神が定めたもうたものだということなら、性に関して何も変更できる余地がありませんが、そうではない部分がある、それは変更可能なものなのだ――この認識が「第二の波」のフェミニズムの運動と関連する重要な問題提起だったわけですね。
 ただし、「ほんとうにセックスとジェンダーと分けられるのか」については、フェミニズムの側からもいろいろな意見が出されています。いちばんラディカルなのは、「すべてはジェンダーである」という“汎ジェンダー論”とでも言えるようなもの。(この点については次週補足します。)その他、身体との関わりの中でジェンダー概念を再構築しようというような考えなど、いくつかを簡単に紹介しました。
 あと気をつけてほしいのは、「セックスとはそもそもが単純な二分法ではないかもしれない」ということ。遺伝子でいえばXXとXYだけでないし、身体的な両性具有とか、むしろ連続しているものを無理に切り分けているのが「生物学的な意味での男女」という考えです。分割線をどこに引くかは恣意的だし、そもそも1本引く(2つに分ける)ということも恣意的です。だから、セックスの側面もまったく自明なものではないということ。
 なんでこんなことを考えないといけないのか?というと、やはりそれは「男と女は身体のつくりが違う、だから、役割も違って当然だ」というような言説にみんな悩まされているから(あるいは納得しているから)。加藤秀一さん(明治学院大)は『性現象論』(勁草書房、1998年)で「“だから”という接続語の前は性的差異について、後ろは性役割規範について述べている。両方を肯定するか、後を否定するために前も否定するかという二者択一しかないように考えがちだが、実は接続詞を“しかし”にして、前はそのままで後ろだけ否定するということだってあるのだ」と言っています。概念的に二つを切り離すことで、わたしたちの思考も(生き方も)自由になるかも知れないから、なのです。
 終わりに、みなさんに講義の感想を書いていただきました。別のページにまとめてありますので、ご覧下さい。(下のリンクを参照。)

※以下だいたい昨年度と内容は一緒です。途中「ミスコンはなぜいけないのか?」というような話もしましたが……。



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 感想等 

リアクション・ペーパー(02/04/11)
 Q1 あなたがこの講義を受講した理由はなんですか/Q2 講義のテーマの中で一番興味があるものはなんですか/Q3 その他ジェンダー、セクシュアリティ関係で、ふだん生活していて感じること・気になっていることを何でも書いて下さい

■講義に関するアンケート(02/07/11)
 一部結果を紹介します。以下、5=よい/そう思う、4=ややよい/ややそう思う、3=ふつう、2=あまりよくない/あまりそう思わない、1=よくない/そう思わない、で集計して全体の平均値を出しています。

(1)目的・計画を最初に提示し、それに沿って授業が行われた  :4.2
(2)授業の準備がしっかりなされていた            :4.3
(3)話は聞き取り易かった                  :4.2
(4)教科書の利用、参考書の紹介、資料の配布は適切であった  :3.9
(5)板書・OHPなどは見易かった                :3.7
(6)発問による関心の喚起、私語の制止など学生への対応は適切 :4.0 
   であった                         
(7)教員の授業への熱意が感じられた             :4.4
(8)教室の大きさ、照明など学習環境が適切であった      :4.1
(9)授業の内容は興味深く、満足できた            :4.1
(10)授業の内容は理解できた                 :3.6
(11)この授業を総合的に評価すれば              :4.1
 ※質問用紙は学部専門科目共通のものです。

■講義の感想等
 4・18
 4・25
 5・9
 5・16
 5・23
 5・30
 6・6
 6・13
 6・20
 6・27
 7・4
 7・11

■課題等
 5・9  新聞・雑誌の「性差別表現」探し
 5・23 テレビCMの中のジェンダーに関わる表現
 5・30 CMイメージの読解
 6・20 セクシュアル・ハラスメントにあたる例・あたらない例


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■試験問題(02/07/18実施)
 次の各問いのうち、第1問〜第3問には必ず解答すること。第4問は自由解答とする。(※印以下は採点しての高橋の感想です。)
1 以下から1問を選択して答えなさい。
(1)右の4コママンガの内容に対して、「ことばとジェンダー」という観点からコメントしなさい。(出典:秋月りす、『OL進化論』19、講談社、2002年、106ページ)
 ※「コメントしなさい」なので、資料についてコメントせず、一般論を書いただけの答案は不可。点数は、1コマ目の女性冠詞の言葉に適切にコメントできて半分、4コマ目の「男の〜」に適切にコメントできて(タイトルと合わせて考察もできて)もう半分。満点は2名。
(2)テレビCMまたは新聞・雑誌広告の中にあなたが発見したジェンダーに関するパターンを、実例を複数挙げながら述べなさい。ただし、講義で高橋がCMのパターンについて扱った際に紹介したものを挙げた場合は、その例を採点の対象としない。
2 「就業時間中に課長が熱っぽい視線で部下の女性をいつも見つめている」ことはセクシュアル・ハラスメントにあたり得るかあたり得ないかを、理由を付して答えなさい。その際、あたり得るとしたら、どのような種類のセクシュアル・ハラスメントになるかも合わせて述べること。
 ※「出題」してくれたY・Kさん、ありがとうございます。ポイントは「部下の女性」や「周囲」が課長の視線をどう感じているか、というところにあります。そこをきちんと指摘している答案を評価します。当然ですが、セクシュアル・ハラスメントなら、まず「環境型」になります。
3 あなたはこれから、あるいはもう一度生き直すとしたら、どのような「家族」を作りたいと思うか。〈近代家族〉概念や現代家族の動向等について踏まえながら考えを述べなさい。
 ※自由に書いていただいて構わないのですが、自分の希望や理想と〈近代家族〉概念などについてのつきあわせができていないものは点数を低くしています。あと、キー概念についてまちがった理解をしているものは、当然減点します。
4 (自由選択題)家族に関することがら以外で、ジェンダーに関わって自分が経験したできごとについて、分析的に述べなさい。
 ※あまり「分析的」なものがありませんでした。救済問題ですが、「ちゃんと書けてればOK」なのであって、ちゃんと書けてなかったらもちろんだめです。


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