*Fugは2000年11月27日に設立されて以降、月1回(弱)の例会と半年に1回のコンパ&ミーティングを軸に活動を続けてきました。その記録をここに載せておきます。 (なおこの記録は個人の文責によるまとめであって、Fug公認のものではないことをあらかじめご了承下さい。)
<第1期>
2001年 1月15日 第1回例会&コンパ「ジェンダーって何だ?」
2001年 2月21日 第2回例会「福大における職場の男女格差〜マイ・ヒストリーから見えるもの」
2001年 3月14日 第3回例会「男女昇格差別の法的論点〜芝信金の判例より」
2001年 5月 9日 第4回例会「福大における職場の男女格差2〜若手職員の声」
2001年 6月21日 第5回例会「男女共同参画社会基本法について」
<第2期>
2001年 7月26日 第6回例会&コンパ「この半年、次の半年」
2001年 9月28日 第7回例会「『名古屋大学における男女共同参画を推進するための提言』を読む」
〜この間、fugに3つのプロジェクト・チームが立ち上がる。
2001年11月26日 第8回例会「3つのプロジェクトについて」
2001年12月18日 第9回例会&コンパ「福大における職場の男女格差3〜ライフ・ヒストリー2」
2002年 2月 27日 第10回例会「大学の男女平等憲章:海外の大学の事例紹介と福大案の叩き台」
2002年 5月 9日 第11回例会「職場調査の進め方」
日時:2002年5月9日(木)午後5:30〜7:40
場所:行社7階合同研究室
話題提供者:職場調査チーム
参加者:7人
まとめ:
会場の予約をきちんとしておかなかったため、場所を7階の合同研究室に移して開始しました。今回はあれこれ議論をするというよりは、5〜6月に行う職場調査の進め方を実務的に決めていく話し合いになりました。参加者は7人といつもより少な目でしたが、参加者の分担・協力を得て調査の進め方を決めることができました。
概要は次の通りです。
(1)アンケート調査と聞き取り調査にわけて、この2つを5〜6月に並行して行う。
(2)アンケート調査について
・女性職員はできる限り全員(定員外職員は除く)集めることを目標にする。
依頼は5人が職場単位で分担して行う。
・男性職員は比較のために同数近く確保することを目標にする。
依頼は7人で分担して行う。
・アンケート自体は「職場調査チーム」のチーフが作成・印刷し、各担当者に配布する。
・5月13日から始まる週の内に依頼する。
(3)聞き取り調査について
・女性職員の内、人生経験豊富組4名と若手組12名に依頼する。
・週1回、金曜日の昼休みに聞き取りに行く。
・依頼とアポ取りを3人で分担して行う。
(4)7月前半にすべての調査を終え、集計(打ち込み)を7月末までに終え、秋に結果の発表を行う。
次回の例会は中里見さんが在外研究に行かれるので、その送別会を兼ねて飲み会にします。
一応、話題提供を「男女共同参画憲章」チームからお願いします(中里見さんからの引き継ぎ的位置づけで)。
日時:2002年2月27日(水)午後6時30分〜9時
場所:行社中会議室
話題提供者:白田真紀子さん、中里見博さん
参加者:9名
まとめ:
年度末の忙しさと大学再編問題とが重なり、例会の成立自体が危ぶまれましたが、最終的には9人が参加して白田さんと中里見さんからの話題提供を中心に議論することが出来ました。
(1)まず最初に白田さんから男女平等に関する憲章を出している海外の大学の事例(米国イリノイ大学スプリングフィールド校と豪州ビクトリア大学)が紹介され、それをもとに以下のような議論をしました。
・海外の大学憲章は男女平等だけでなく、人種・民族・宗教・信条・婚姻・年齢…など様々な平等を対象にしているし、法律にも準拠している。また単なる「宣言」「提言」ではなく不服申し立てやその手続きなど大学の公的な制度として成立している。今、われわれが考えていることから見て、ずいぶん先を行っている感がある。
・アメリカやオーストラリアでは社会全体として差別問題を議論してきた歴史があるから。
・福大ではどの程度のことを目指すのか。
・まずは男女平等に限定するしかないだろう。
・また大学の制度・規定の案をわれわれが考えることはできない。大学当局が制度・規定を考えるようになるために、その前提となる大学の基本姿勢を「大学憲章」として宣言するということが当面の目標だろう。
(2)次に中里見さんからは福島大学「男女共同参画」憲章の骨子案(叩き台)が出され、それをめぐって以下のような議論をしました。
・昇進における男女平等を主張する場合、能力主義に対してどういうスタンスを採るのかという点では難しい問題があるのではないか。
・その能力評価の基準について男女平等の観点からどうあるべきかを論じることは可能ではないか。
・とはいえ人事をこういう基準で行えと具体的に指定することがいいのかどうか疑問。
・実際になされた人事に対してその理由を説明せよと求めることはできるのではないか。少なくとも不服申し立てがあった場合には説明の義務がある、とするなど。
・福大の現状や問題点を具体的に提示して、それをどう改善するかという形で書いた方がいいのではないか。
・一般的な理念論と福大の現状・対策論との二段構えの構成にした方がよくはないか。
・名大の「提言」には非常勤講師の処遇、育児環境整備、旧姓使用の問題なども盛り込まれていたが、それらは福大の憲章では扱わないのか。
(3)最後に平野さんがHPと職場実態調査の関わりで若干の議題を提起し、少し議論して、例会を終えました。
日時:2001年12月18日(火)午後6時20分〜10時20分
場所:経済大会議室
話題提供者:近裕見子さん
参加者:12名(内非会員1名)
まとめ:
大会議室に鍋の匂いが漂う中、一人また一人と集まってきて、6時を幾分まわった所で開始しました。今回は飛び入り参加の方もいました。
近さんは、福大に就職してから今日までの職場での経歴を「異動年月日・配属先・主な仕事・研修経験・その他」という項目に整理して紹介しました。詳細は公にできませんが、近年(ここ10年ちょっと)の若手女性職員がおかれている状況が多面的に表現されているよい資料になっていると思います。
討論では次のような点をめぐって議論がかわされました。
・職場でのお茶くみを女性職員がやることについて。〜ここ数年の間にあちこちの係で散発的に廃止に向かっているが、現在も残っている係はあるだろう。〜来客にお茶を出すのは当然としても、それが女性の仕事とされるのはおかしいし、ましてや職場内の上司に女性職員がお茶を出すのが当然であるかのようなあり方はなくすべき。
・文部省からやってきた職員との懇親会に女性職員をコンパニオンのような要員として動員するという事件があった。〜言語道断。福大の質が問われる事件である。
・そうしたことを抗議した場合、嫌がらせのようなものを受けないか? 〜上司の個性はいろいろだが、嫌がらせを感じたことはない。
・研修について。近さんは沢山の研修を受けているが、これらは標準的なものか? 〜新採用研修と中堅研修は年齢順に受けるものなので標準的。女性の場合、産休・育休などで機会を逃すということもあるが「女性を優先させる」という意向もある。会計事務、学生指導、留学生担当など職能に対応した研修については受ける機会に恵まれている方だと思う。
・配属について。〜近さんの配属先は会計・総務系に集中しているが、これは必ずしも標準的ではない。〜同期の別の人の場合、学部の庶務→学務→会計とバランス良くまわり、その後、学生課・総務→同・厚生と似た系列になっている。〜若い時期にはいろいろな係を経験させるという原則もあるが、現実の人事にはいろいろ生臭い面もあって、必ずしもその通りになってはいない。〜ある係から異動になる時に上司から「男性と仕事がしたいので(異動させることにした)」と言われたのはショックだった。
・本部棟の女子休養室問題とはどういう問題?。〜女性にとっての必要性についてまったく理解がないということ。〜なるほど。
以上のような議論をすませた上で、鍋に火を入れ、ビールを注いで忘年会を開始しました。
日時:2001年11月26日(月)午後6時〜8時50分
場所:行社3F中会議室
話題提供者:3つのプロジェクト・チーム
参加者:12人
まとめ:
前々回と前回の議論を受けて、この2ヶ月間にfug内部に3つのプロジェクト・チームが立ち上がりました。そのそれぞれから今後の取り組みについての素案が出されました。
(1)「男女共同参画大学宣言(仮称)」起草チーム
<提案>
・99年の「基本法」、2000年の「基本計画」以降、様々な場所で「男女共同参画」が取り上げられつつあるが、福大では当局・組合ともに取り上げる様子は見られない。学内世論を喚起していく取り組みとして「大学宣言(仮称)」を起草・提案していく。
・来年の夏頃に完成バージョンを発表するようなテンポで考えたい。
・チーム・メンバーの募集から始めたい。
<議論>
・各地の取り組みの中で「共同参画」という言い方に異議が出ており「平等参画」という言い方も提案されているがどう考えるか。〜賛否両論ある。今後議論していこう。当面は(仮称)付きで「共同参画」を流用する。
・「宣言」の内容についてどんなことを考える必要があるだろうか。〜何故、大学として宣言を出すのかの理由付けを書く必要があるだろう。また全階層を共通に括ったような抽象論だけではなく、教員/職員/学生の各階層を具体的に念頭においた「各論」的な内容も必要ではないか。〜学生の声を聞く場を考えないといけないね。
・チーム・メンバーについて。〜白田さん、小野原さんが参加表明。佐藤さん、栗原さんにも協力依頼の御指名がありました。〜引き続き募集中です。
(2)職場実態調査チーム
<提案>
・調査目的=職員の昇任昇格の男女差別の実態と背景について、改善に結びつけるための「武器」として調査する。
・2002年秋にまとめるテンポで考える。
・調査方法は、調書のコピー、アンケート、面接などを組み合わせていく。調査対象は、女性職員は全数をめざす。男性職員は少なくとも比較対照が可能になる規模は確保したい。調査項目は、個人属性、職場の経歴(配属、研修)、その他など。プレ調査として課・係単位の聞き取りも。
<議論>
・「学報」に載る人事の記録や「職員録」なども資料としては使える。
・男女格差以上に別の格差が大きな職場での調査の難しさもある。〜ま、プレ調査などで体験的に見ていきましょう。プレ調査はそれなりの試行錯誤があるだろう。
・どんな研修があるのか? 研修の種類など。
・特昇や昇格も何とか調べられないか?
・係内での仕事の割り振りの実態の知りたい。
・プレ調査と本調査の時期は? 〜1・2月にプレ調査をして、3月に本調査をする。
(3)ホームページ作成チーム
<提案>
・HPの基本構成。三分割して上側にロゴ、左側に目次、右側に各ページが出る形にする(ここで試作品を公表)。
・年内に最低限部分を作って公開する。以後、更新しつつ改善を目指す。
・検討すべき点として、掲示板を作るかどうか、サーバをどこにするか、入退会方法の公開をするか、連絡先をどうするか、リンクなどの渉外をどうするか、などがある。
<議論>
・掲示板は荒れても寂れても管理が大変。そもそも設置の技術があるのか、という問題も。〜さしあたりは作らないでおいて、様子を見つつ判断しよう。
・入退会方法についても公開にせず「入会希望者はこちらまでご連絡を」という形にする。
・それも含めて連絡先はさしあたり世話人のアドレスに。
・サーバについては高橋さんから基本的な了解を得ている。詳細を持って改めて相談する。〜問題があれば生協なども有り得る。
日時:2001年9月28日(金)
場所:行社棟3階中会議室
話題提供者:中里見博さん
参加者:9人(内、非会員2名)
まとめ:
話題提供者である中里見さんから、名古屋大学の「提言」についてこれが99年基本法、2000年基本計画、国大協の提言という流れを背景にもって出されたものであるという経緯を紹介した上で、以下のような整理が出されました。
1 不十分と思われる点
1.1 前文4に「男女両性がそれぞれ専有する慣性や正義感をお互いに尊重し…男女の特性をいかんなく発揮させる環境と条件を早急に整備する」とあるが、これは「性別に関わりなく個性と能力を発揮する」とか「男女を問わず個人としての尊厳」という基本法の考え方から後退しているのではないか。
1.2 前文5では男女共同参画による教育研究の実践こそが「21世紀における本学の命運を決定する」とか「本学の最重要課題」とか重く位置づけられているわりには、本文の中身が薄い印象を拭えない。
1.3 この提言の中身は(一部を除き)基本的には部局の責任で検討、推進されるよう期待されているにとどまっており、部局の判断を越える力を持っていない。
2 注目に値する点
2.1 本文9(1)で性的差別を受けた場合に不服を受理、審査、調査、問題解決にあたる「不服申し立て制度」が規定されている点は実効性があると思われる。
2.2 本文13で男女共同参画推進の方策を企画、立案、実施、点検、評価改善、意見交換、情報公開する「推進委員会」が規定されている点、どのように機能していくのか今後も見ていきたい。
以上の整理・報告を受けて、討論では次のような声が出されました。
・この「提言」が出されるにあたっては、名大学内に自主的な勉強会が作られ、そこに管理職も顔を出した、というような経過もあったらしい。
・不十分点の1.1は、「提言」の本文5「女性の参画の推進」に家事育児との両立を図るための支援体制の整備が書かれていたり、理工農医系では「性を考慮した平等である必要」と書かれているなど、より明確が形をとっている。
・不十分点の1.1、1.3の背景は、理工系(特に医学系)では「男女の特性の違い」を強調する議論が根強いので、名大のような大規模の大学では全体の合意を得るためには何らかの妥協が必要だったのではないだろうか。
・女性研究者の採用が少ない点については明確に「差別的な扱い」とされているのに対し、掛長・専門職員以上の女性比率の少なさについては「女性の能力を活用しているとは言い難い」という表現にとどまっていて差別とは言われていない。「提言」を執筆したWGが教員だけから構成されていたことが影響しているのだろうか。
・本文にも育児環境の整備がうたわれており保育所の話も出ているが、どういう人々によって利用されているのだろうか。福大での実現可能性はどうだろうか。
・福大で「不服申し立て制度」を作るとしても、何が差別なのかという議論がまずないと、何について不服申し立てするのかという壁にぶつかる。→日常的な事柄のどういう事が昇進格差などの大きな差別問題に結びついているかをきちんと調査して、「こういうことは差別(につながること)なんだ」ということを知らせていく必要がある。→それが共通認識になれば、日常的な監視・点検を行うこともできるし、不服申し立てもしやすい。
・「福大でも『男女共同参画宣言(仮称)』を出そう」というような運動もあり得るのではないか。一般論としては誰も反対できないだろうし追い風でもある。まずfugで勝手に素案・叩き台を作って公表し、fug外からの意見を取り入れてどんどんバージョンアップしていくような運動をやっていったら世論喚起になるのではないか。
など。
日時:2001年7月26日
場所:イタリアン・レストラン「アクアディマーレ」
話題提供者:
参加者:7人
まとめ:
fugができてから半年たったので、ここらで少し振り返って反省と今後の方向性についてざっくばらんに話し合いましょう、というのが今回のテーマ。イタリア料理店でワイン&食事を取りながら、喫茶店でお茶を飲みながら、まったりと話し合いました。
大枠として以下のような議論になったと思います。
・この半年間で開いた5回の例会を振り返ってみると、自画自賛じゃないが、なかなか充実した内容になっている。
・ただし、今のところ「やりっぱなし」で、こうした例会の積み重ねからどうやって職場の改善へと結びつけていくかという媒介はまだ何もない。
・fugの長期的・最終的目標が、福大の教職員の雇用上の男女平等を実現することだとして、その長期的目標の下に具体的な実現を目指す当面の目標(中期的目標/短期的目標)を設定した方が意欲がわくように思う。
・fugのホームページを作るのはどうか? 例会の記録を順次HPで公表していけば、対内的にも例会の内容の蓄積ができ「やった端から忘れていく」のを防げるし、対外的にも「誰でも見ることが出来る」=還元することができる。もちろん宣伝にもなる。
・メンバーのそれぞれが自分の関心に沿って継続的に追求していくテーマを見つけ、共通するテーマの人同士で相談して今後の例会の話題を設定していく方式はどうか(もちろん、全員が必ず、ではない)。
日時:2001年6月21日午後6時より
場所:行社3階中会議室にて、お茶・お菓子付き
話題提供者:栗原るみさん
参加者:8人
まとめ:
6時20分頃から7時ぐらいまで栗原さんに「男女共同参画社会基本法をどう見るか」をテーマに報告をしてもらい、次いで平野さんから名古屋大学の「提言」の紹介を5分ぐらいしてもらい、その後9時近くまで議論をしました。
栗原さんの報告は、まず最初に、前近代/近代/現代という大きな枠組みで社会の中での女性の扱われ方の変化を概観し、次いで日本におけるそのような変化をより具体的に見ながら日本的な特徴を紹介(戦後直後まで前近代が残存した、など)。そして1975年頃から、国際的な圧力などを受けて、日本でもようやく現代的な運動が広がってきた、と概観した上で、しかし1990年代後半に現れる今回の「男女共同参画社会」構想は、この現代的な運動から見てもさらにパラダイム転換である、と紹介し、最後にその「基本法」の特徴を数点にわたって整理したものでした。
フリーディスカッションでは以下のような議論がでました。
・「男女共同参画社会基本法」=「パラダイム転換」という栗原さんの評価はどこに着目しての評価なのか。→男女間の平等だけでなく、性役割分担の解消=ジェンダー・フリーを目標にしている点。
・そのような新しさを持ったものが今、登場してきている時代背景は何だろうか。→ひとつには「少子化」の下で女性にも労働力になってもらわないと社会を支えられなくなっていることがあるのでは。
・女性の労働力化は、結局、賃下げに行き着くのじゃないのか?→そういう作用はあるだろう。それにどう抗するかは次の/別の問題。
・この「共同参画社会」の構想は96年の橋本内閣の6大改革構想(現在の小泉構造改革論につながる)を貫く中心軸として出されている。この「基本法」がいい内容を持っていても、この改革構想の全体は自立自助と競争原理を強めるものじゃないのか。
・「基本法」の内容を素直に受けとめると画期的なもののように見えるが、政府は本気で実現するつもりがあるのか、それとも形だけで結局は棚上げするつもりなのだろうか。→「ある程度、本気の面があるのではないか」と「いやまったくのタテマエでしょ」の両論あり。
・「基本法」は男女共同参画社会の形成のために国は積極的に施策を出すようにと言っているが、福島大学にもそういう指導は来るのだろうか。→来ないだろうなぁ。
・今日、大学職員の働きがいとは何か。また教員にとっては? など。名古屋大学の「提言」についても、いずれ丁寧に検討したいね、という話がでました。
(文責:KH)
日時:2001年5月9日午後6時より
場所:行社3階中会議室にて、お茶・お菓子付き
話題提供者:芦原ひろみさん、加藤千里さん、今野嘉信さん、橋本薫さん
参加者:(10名+α)
まとめ:
今回は若手職員の声を聞きたいという趣旨で、ゲスト・スピーカーとして芦原ひろみさん、加藤千里さん、今野嘉信さん、橋本薫さんの4人に話題提供をお願いしました。
1)加藤さんの話 職場の男女の立場の違いについて感じさせられた最近の事例として、本部に休養室を作る際の経過がある。当初は「女子休養室」として要求されたけれど、いざ出来てみると「休養室」という名前になり、鍵の管理も庶務係が持つことになった。その後のメールのやりとりで休養室は女性専用であることが周知されたが、作られる過程では「どうせ作るなら男性も利用できる方がいいのではないか」という発想があったし、鍵問題は管理責任の観点からそうなってしまった。この経過から、職場環境を見る場合でも女性の視点と男性の視点に違いがあることを改めて学ばされた。
2)芦原さんの話 女性が多数の係にいるためか普段はあまり男女差別とか感じないが、それでも得だと思うこと/損だと思うこともある。自分が女性で得をしたと思うのは、お菓子などが配られるときには女性に優先して配られるときなど。他方で、今でも台所関係の仕事(布巾の洗濯、生ゴミの処理など)を女性職員が交代制でやる慣習になっている。これは、そのように決められているわけではないが、放っておいても男性職員がやらないため女性が引き受ける形になってしまっている。また組合の女性部で昇格格差の話を聞いたときにはひどい話だと感じた。でも女性部で扱う以外ではあまり話題にならない。
3)今野さんの話 昨年度まで管財係にいたが、そこは力仕事や大学への苦情処理などが多く、これらが「男向きの仕事」と思われているのか、いままで女性が配属されたことがない(例外として臨時雇用の女性が来たことがあるが、あくまで例外的な措置だと思う)。今ではトラック運転手などにも女性が進出している時代だし、管財係の仕事から女性を排除することはないと思う。また就職のために省庁まわりをしていた際に、面接で「女性は結婚退職する人がいるから、できれば採りたくない」という発言を聞いたこともある。自分は家事とか好きなので「じゃあ男性の自分は結婚退職したら駄目なのか」と思った。また福大の人事には(男女間格差に限らず)恣意的な部分があるように感じる。
4)橋本さんの話 昨年度までいた磐梯青年の家はいかにも「古き良き公務員の職場」という感じの残っているところで、一方でそれなりの余裕もあるが、他方で係への配置や係内の仕事の分担で男女格差が「そういうもの」として受け入れられている。また福大に自分が来た当初は、初の女性係長が誕生した(90年)とか、司計や人事など従来、女性が配置されてこなかった係に女性が配置されるようになるなどの変化があったが、それ以降、そういう話をあまり聞かなくなった。また今年、福大に戻って職場の雰囲気が3年前を少し違い、仕事上のやりとりで言葉遣いなど配慮が欠ける部分が出ているように感じている。
4人の方に話題を出してもらいながら、そのままざっくばらんにフリートーキングをしました。いろんな意見が出されましたが、次のような論点が出されたように思います。
<休養室問題>
・休養室は本来、男性用・女性用の両方が備えられてしかるべき。事務を集中化しながら、そのスペースを確保できない点がまず問題。
・とはいえ女性にとって必要なのは男性の目を気にせずに使える休養室なので、一部屋分のスペースしかないからといって男女共用にしてしまったら女性にとっては意味がないのに、そうしたことに気づかないこと自体が「男性の視点からの発想」=「普通の発想」となっていることの現れ。
・また男性用はどうするのかという問題も作る過程できちんと出して議論すべきなのに、議論なしにいつのまにか共用であるかのような話になっていた。
<「力仕事=男の仕事、台所関係=女の仕事」という発想>
・昔はお茶くみなどもあった。今でも係に配属されると誰が何曜日の担当という形で女性職員の中で割り振っている。これは誰の仕事でもない下で、男性側に「自分がやることではない」意識がある結果、結局、女性が引き受ける形をとっている。
・この問題は男性側からも不満や要求があってしかるべき。 ・今回、今野さんからそういう声が出されたことはとても新鮮でよかった。
<昇任・昇格差別問題>
・差別だと言うにしても、昇格している男性職員と昇格していない女性職員を比べてどちらが能力的に優れていたかを比較するという方法論は採りにくい。むしろ昇格基準を誰の目にも納得いくようなものに明確化・透明化するよう求めるという方向がいいのではないか。〜男女間の格差だけでなく、とかく恣意的ではないかとの疑念がもたれている人事の現状に照らしても。
・昇任・昇格の際、「能力」の中に「残業を引き受ける条件があるか」を含めるかどうかという点は大きな問題になる。〜今の福大では残業は多忙化の中で誰もが否応なくやっているものなので、「残業=仕事への意欲の現れ」と解釈するのは実態に合ってない。
・ポスト数が限られている下では、ポストにつくことと給与体系とを切り離して、後者をもっと平等化する方向も考えていいのではないか。
<その他>
・組合の女性部で作成している昇格格差の資料の他にも、昇格での格差にいく前の段階で、係への配置や係内の仕事分担でどういう男女格差があるのかの実態を明らかにすることが重要になってくるのではないか。
・歴史的に振り替えると、確かに福大の職場はいろいろ改善されてきている。しかし、注意してみればまだまだ問題は残っているし、それらを発見していくことがひるがえって自分たちの意識を見直し・変えるきっかけにもなる。
(文責:KH)
日時:2001年3月14日午後7時より
場所:行社3階中会議室にて、お茶・お菓子付き
話題提供者:今野順夫さん
参加者:10人
まとめ:
話題提供として今野さんに紹介して頂いたのは、芝信用金庫での女性昇格・昇進差別訴訟について東京高裁がどういう判断を下したか、という話です。
芝信金の判例のあらましは以下の通り。
・原告は13名の女性。同期同世代の男性に比べて昇格・昇進において著しい差別を受けたとして、課長職の資格、課長という職位、差額賃金、慰藉料などを求めた。(職位については戦術的判断から後に取り下げた)
・芝信金では昇格について試験制度を採っており、人事考課が50%、学科・論文試験が50%という配点になっている。
・原告の主張は、「各種統計、データにより、昇進・昇格の男女格差は明らかである」「入職後の職務配置、研修で差別され、論文・学科試験において合格し難い状況にあり、人事考課でも差別されている」「男性は年功序列的な運用を受けているが女性は受けていない」というもの。
・被告側は「原告のデータは資料の抽出が偏っている」「試験は公平・公正で、男性が合格しているのは男性の不断の努力によるもので差別はなかった」と主張。
・裁判所の判決は3点にまとめられる。
1)学科・論文試験については試験問題・採点方法は公正、
2)職務配置、研修についても差別は認められない、
3)しかし合格率5-10%という難しい試験であるにも関わらず同期同世代の男性全員が昇格しているという事実は人事考課において男性のみを優遇したと推認せざるを得ない、
として女性差別を認め(最年少の1名を除く)、課長職の資格を与え、差額賃金・退職金を支払うことなどを会社側に命じた。
・解説によると、これまでの裁判でも男女差別を認め、差額賃金の支払い等を命じる判決はあったが、昇格の地位確認を行ったという点で今回の判決は画期的とのこと。
裁判・法律方面の話なので、最初は用語解説・事情の把握に手間取りましたが、だんだん様子がつかめてくると、「福大ではどうなっているのか」「人事考課って何を評点しているのか」「大量データで著しい格差が認められれば差別があったと推認されるんだ」など身近なところに引きつけた議論になりました。
最後に、千葉さんから「男女共同参画社会」に関する資料の紹介もありました。
(文責:KH)
日時:2001年2月21日午後5時30分より
場所:行社3階中会議室にて、お茶・お菓子付き
話題提供者:鴫原雅子さん
参加者:12人
まとめ:
話題提供は、まず鴫原さんが職場における自らのライフ・ヒストリーに沿って、福大でどのような男女差別を体験してきたかを紹介し、さらに同世代の蓼沼さん、鎌田さんがそれに補足するという形でなされました。
論点は多岐にわたり、6時頃から始めて8時半までみっちり議論しました。今、思い出せる限りで紹介すると、以下のようなものがあったと思います。
・男女差別は、主にa. 昇任・昇格、b. 特昇、c. 採用(男性の採用は安定的だが、女性の採用は波を打っていること=1967-1981年の15年間女性職員が採用されず、その後急に採用され始めた)の3面に現れる。
・昇任・昇格問題の背後には、職員研修や配置転換など、平素からのキャリア形成上の男女格差が存在している。
・ある種「エリート・コースのように見なされている」特定の系列への配転に男性が多く集中しているという問題と、そのようなエリート・コースが設定されていること自体の問題という二重の問題がある。
・同様に、人事交流・学外への異同を経た者が高く評価されることについても、交流・異同が男性に集中している問題と、そのような評価のあり方自体がおかしな仕組みではないかという二重の問題がある。
・福大は他の職場よりましなのか、ひどいのか。小規模大学であることの影響はどうか。
・具体的に候補名をあげて、この人を係長にせよと迫る運動が必要ではないか。
・組合の交渉などで課長等に言い逃れさせない論点を考えていくことと、男性職員・若手女性職員などを含め広く職員自身の意識を変えていくことの両方が必要。
など。(文責:KH)
日時:2001年1月15日午後6時より
場所:居酒屋「魚民」にて、アルコール付き
話題提供者:中里見博さん
参加者:(10数名)
まとめ:
最初の例会ということで、顔見せも兼ねて居酒屋で飲みながら「そもそもジェンダーって何なんだ?」という点をめぐって学習&討論する例会となりました。
話題提供では、行政社会学部の中里見さんからレジュメ付きで、日常生活の中のどこにジェンダーの問題が発見できるか、ジェンダーをめぐってどのような論点があるかなどについて紹介してもらいました。
<レジュメの骨子>
0.いくつかの事例(「生物学的性差の自然性」に覆い隠された男/女の権力性)
1.「セックスは生物学的性差」「ジェンダーは文化的性差」か?
2.「生物学的性差の自然性」と、「社会的性差の中立性」の神話をこわす方法論的概念(=ジェンダー化する(en-gender))
3.男/女の「平等」とは?──女性の「社会的」経験から「男性」文化(rape culture)の非人間性を問い直すこと
4.補足:男性によるジェンダー研究とは?
中里見さん、盛り上がる話題提供、ありがとうございました。 以下は個人的な感想。
・中里見さんの話題提供は、感覚にまで染みついている「常識」の裏に何があるのか?という話で、考えてみたら、ほんとに沢山の枠がはめられているな、と改めて実感しました。
・軍隊や大企業総合職への女性参加の是非の問題では、異論・反論続出で中里見さんが少数派になったりなど、自由かつ活発な議論ができてとても楽しかった。特に中里見-熊沢論争では、看護婦職の起源や十字軍の女性兵士にまで話が及んで圧巻でした。
(文責:KH)