
従軍慰安婦
【 書 名 】従軍慰安婦
【 著 者 】吉見義明
【出 版 社】岩波書店(岩波新書)
【発 行 年】1995年4月20日
【 価 格 】630円+税
【 ISBN 】4-00-430384-2
【KeyWords】戦争 性暴力 売買春 セクシュアリティ 歴史
【 内 容 】(目次)
序
I 設置の経過と実態 −第一次上海事変から日中戦争期まで−
1 確認される最初の軍慰安所
2 大量設置の時代へ
3 陸軍中央と国家の関与をめぐって
4 どのような結果をもたらしたか
II 東南アジア・太平洋地域への拡大 −アジア太平洋戦争期−
1 南方地域の状況
2 軍慰安所の配置と慰安婦の総数
III 女性たちはどのように徴収されたか
−慰安婦たちの証言と軍人の回想−
1 日本からの場合
2 朝鮮からの場合
3 台湾からの場合
4 中国の場合
5 東南アジアの場合
IV 慰安婦たちが強いられた生活
1 管理・統制の実態
2 慰安婦の日常はどのようなものだったか
V 国際法違反と戦犯裁判
1 植民地・占領地の女性が慰安婦にされた理由
2 国際法では何が禁止されていたか
3 オランダ人慰安婦問題 −スマラン慰安所事件の顛末
VI 敗戦後の状況
1 敗戦直後の連合国軍用慰安所
2 軍隊に慰安婦はつきものか −各国軍隊の場合
3 従軍慰安婦たちの戦後
終章
あとがき
参考文献一覧
【コメント】
「従軍慰安婦」と呼ばれる存在は、決して「隠されていた」ものではなかった
と思います。しばしば第二次世界大戦中の従軍を経験した人たちの回想録にその
記述が登場しますし、70年代までにも何回かまとまった著作が編まれています。
80年代の後半になってから、韓国の女性運動に支えられて、元「慰安婦」の人
たちが名乗り出て、問題をめぐる条件は大きく変わりました。「書かれた記録」
のほかに「書かれざる記憶」が新しく出現することになったからです。「記憶」
と「記録」の優位をめぐる争い――フェミニストたちが注目する大きな論点で
しょう。
吉見氏のこの著作は、伝統的な歴史学の史料に主に即し、その範囲内でも「慰
安婦」の存在・「強制連行」の事実があったことを暴き出していますが、それと
同時に、回想録などを豊富に取り入れているところが、"autobiography"を新し
い種類の史料として活用するフェミニスト歴史学に大きく近づいている側面だと
言えます。
また、日本軍が「慰安婦」を必要とした一つの要因として、休暇制度の不備、
劣悪な勤務体制などを指摘しているのも注目に値します。なぜならはそれは、現
代日本の企業社会の論理とも通じる面があるから。
(1998/05/06)
This page written by TAKAHASHI, June (june.takahashi@nifty.ne.jp)